株式会社キシブル(本社:札幌市、代表取締役:岸敬介、以下キシブル)は、国立大学法人山口大学(本部:山口県山口市、学⻑:谷澤 幸生、以下「山口大学」という。)と共同で、VR動画を複数人で同時視聴でき、仮想空間でコミュニケーションを行いながら擬似的な実習授業が可能な教育ツール(iVRES)を開発しました。
■背景
山口大学は、令和2年度大学改革推進等補助金(デジタル活用教育高度化事業)「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」の採択を受け、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により実施が困難となっていた対面式教育から、DX(デジタルトランスフォーメーション)を迅速かつ強力に推進し,ニューノーマル 時代に適した教育手法の推進に取り組む必要がありました。しかし、既存のVR技術では、VRゴーグルを用いた仮想空間内で、セキュリティーを確保した状態で動画を共有しながら、現場実習のような体験を実施することは困難でした。
そこで、キシブルが北海道科学技術大学らと共同で開発したVR共有技術を応用することで、VR動画を複数人で共有しながら擬似的な現場実習を可能とするiVRESの開発を実施しました。
■iVRESの概要
市販のVRカメラで撮影した360度映像を複数台のVRゴーグルで共有して実習を行うことができるシステムです。VRゴーグルの共有にローカルWi-Fiを活用することで、インターネットの環境がない場所でも使用することが可能となります。
また臨場感ある実習現場を再現するために、共有はホスト側の仮想空間に各プレイヤーがアバターとなって入り込みポインターなどのジェスチャーを可能とすることで、現実と変わらないコミュニケーションを行うことができます。
■iVRESのメリット
①容易に動画コンテンツを追加可能
②サーバー使用料などの運用費用が必要なし
③実習現場と同様のコミュニケーションが可能
④VR動画のセキュリティーが確保
■iVRESの特徴
ローカルWi-Fi環境で複数のVRゴーグルを同時共有して授業を行う仕組みは国内初の取り組みとなります。
北海道の医療分野では、北海道大学病院集中治療部で山口大学の協力のもとテスト導入を行っています。
また、医療分野以外では札幌の建設系IT企業である株式会社ネクステラスと共同で建設工事の安全教育分野での導入を進めています。
■関係者コメント
・山口大学共同獣医学部・准教授 高野 愛
獣医師の育成においては様々な実習を行いますが、複数回の体験ができない手術実習や、多数の学生が同じ視点で手技等を観察することが難しい実習、物理的にアクセスが難しい現場での実習なども多いことが以前より課題となっていました。また、倫理的、そしてセキュリティー上の観点から学習用動画を外部のサーバーに保管することには大きな問題がありました。当時、これらの課題を解決できる既存のシステムはなく、新しいシステムをキシブルさんと共同で開発させて頂きました。本システムを共同開発する上でもう1つ重要視したのは、動画編集にかかる煩雑さと時間的な拘束を最大限に減らすことでした。本システムができたことにより、教員自身が撮影した動画を容易に用いることが可能になり、学生は様々なスキルを手技者の視点で学習することができるようになりました。今後、さらにシステムが改善され、より多くの分野で活用が進むことが期待されます。
・北海道大学病院麻酔科講師・集中治療部副部長 斉藤 仁志
貴重な症例や、頻度の少ない手技を、任意の視点から360°動画として自由に撮影,保存し,複数人数で繰り返し共有できる教育ツールは国内に見当たりません。iVRESを利用することで共有動画を一時停止し,重要箇所を直接マーキングして共有することも可能で、教育ツールとして高い効果が期待できます。当集中治療部では今年4月の導入以降、既に30本の動画を撮影し、学生や研修医の教育に活用しています。今後の発展に大きな期待を寄せています。
・株式会社ネクステラス 代表取締役 木下 大也
建設業界では、屋外における作業が多いことや、大型の建設機械を使用したり高所作業を伴う場面もあることなどから、労働災害の削減に向けた安全対策が非常に重要です。
その中でも、安全教育は労働災害を未然に防止する方法として着目されてきました。
一方、建設業界においても労働力不足が深刻化しており、建設DXによる生産性の向上が求められています。このような背景から、iVRESは効果的な安全教育を可能にするとともに、施工状況の関係者間における共有など、さまざま場面でコミュニケーションを効率化・活性化することが可能であり、建設DXによって生産性向上を推進するツールとして期待しています。
・株式会社キシブル 代表取締役 岸 敬介
Withコロナで医療の教育現場では現場実習が困難な状況にあると聞きますが、今回開発したVR教材によって、有用な解決策として活用頂けるのではないかと感じています。
また、北海道では多くの分野で人材不足や技術継承が課題となっており、北海道発のVR教育ツールとして活用と普及を期待しています。
iVRES公式サイトについて
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パンフレットについて
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