先日発売が発表されたハイエンドVRヘッドセットの「StarVR One」ですが、様々な事情から延期になっていましたが、ようやく全貌が明らかになってきました。
発売前なので日本ではほとんどレビューがないですが、海外のレビュアーですでにに入手している方もいるため、今回はドイツ在住のVRジャーナリストであるセバスチャン・アン氏のYouTube配信(MRTV)より解説します。
StarVR Oneとは?
台湾のstarvr社(Acerグループ)が発売する高価格ハイエンドのVRヘッドセットで、水平視野角が210度(通常は100度くらい)、垂直視野角が130度という他のヘッドセットにはない視野角の広さが特徴のヘッドセットです。
今までのヘッドセットはディスプレイの周りに黒い部分が見えており、双眼鏡を覗いている感覚に近いですが、210度となると人間の視野とほぼ同じなので、黒い部分が見えず、よりVRの世界に入り込んだ感覚になるということです。(starvr社はヒューマンビジョンの視野角と呼んでいます)
液晶パネルも高性能となっており、リフレッシュレートが90HZ、RGBのサブピクセルをもつ最新の有機ELディスプレイ(片目あたりの解像度1800×1400)を搭載していますので、現在普及しているOculusRIftSやVIVE COSMOSなどと比べてもスペックは高くなっています。
また、トラッキングはViveのベースステーションを利用した方式(アウトサイドイン)となっています。
価格は3200ドル(約40万円)と10万円以下のヘッドセットが人気のなか、高額となっています。
どんな用途のVRヘッドセットか?
価格も含めビジネス向けに特化したヘッドセットになっています。
視野角がとにかく広いのでプレゼンやデモなど体験者に最大のインパクトを与えたい場面で有効です。
今までのVRヘッドセットとは何が違うか?
私はStarVR(StarVR Oneの前のバージョン)や水平視野角200°のPimaxを体験しましたが、視野角が広がるとVR酔いが発生しづらく、ライド系など体験型のコンテンツを試すと体が引っ張られた感覚になったりVR空間に没頭しやすくなります。
ではPimaxとは何が違うのかというと、Pimaxは10万円以下で販売されており、個人向けのVRヘッドセットとしてはかなり人気がありますが、 無理やり水平視野角を伸ばしている感じがあり、水平部分に歪みや違和感が発生して、人によっては不快に感じるため、ビジネス用途で使用するのは難しいかなという感想です。(もちろん、バージョンアップ等でだいぶ改善されたようですが・・・)
Pimaxと比較すると、水平視野角が10度増えているだけではなく、最新バージョンでも発生していた水平方向の若干の歪みや違和感が全く無いということです。
なぜPimaxよりも完成度が高いのか?
StarVR Oneの開発者の話では、Pimaxは液晶パネルを最初に開発してから、水平視野角が200度になるレンズやソフトを開発して対応しているのに対して、StarVR Oneは最初にレンズを開発してから、レンズに合う液晶パネルを開発するため、歪みなどが全く発生しないそうです。
そのため、液晶パネルにコストがかかっているため、ヘッドセットの価格が高くなってしまうようです。
StarVR Oneのマイナス点は?
動画の中でセバスチャンは有名なVRゲームである「HALF-LIFE ALYX」をプレイしながらレビューしていますが、StarVR Oneの中心レンダリング(中心部分の解像度を上げて、周りの解像度を下げることによりグラフィックの負荷を抑える方法)の影響で、机やアイテムなどの小物が視界から突然消えたり、現れたりする現象が起きているとの事。
ただし、後日検証したStarVR Oneに対応したコンテンツでは、まったく上記のような現象が発生しなかったので、既存のコンテンツはStarVR Oneに対応しているか検証する必要があると思います。
また、液晶パネルは他のヘッドセットよりもスペックは高いですが、視野角が広いため映像の品質は落ちるそうです。
セバスチャンの感覚だと、無印のViveヘッドセットよりも映像が綺麗だが、最新のVive CosomosやRiftSよりも劣っており、ViveProと比べると同等に近いが、若干劣っているレベルということです。
ただし、レンズのスイートスポットはかなり広く、VRをプレイしているゴーグルのレンズを外からカメラで捉えてもピントが合っているとのこと。(下記の画像はゴーゴルのレンズをカメラで撮影したものです)
ビジネス向けのヘッドセットか?
価格(約40万円)からすると個人が気軽に購入できるヘッドセットではなないと思います。
体験者に最大級のインパクトを与えられるため、ビジネスでのプレゼンやデモ、展示会などで使えるのではないかと思われます。
まとめ
・映像の綺麗さは現行のヘッドセットより劣る
・顧客にインパクトを与えたいプレゼンなどで活用できる
どこで買えるのか?
国内では株式会社エルザジャパンや株式会社サイバネットシステムなどが受付を開始しているようです。
StarVR Oneに期待すること
私も2年前にアクティオさんの建設業トレーニングVRのデモでStarVRを体験したことがありますが、高所から倒れて落ちる体験では、立ってられないくらい体が引っ張られて転びそうなった経験があります。
視野角が広いヘッドセットは、脳が現実と混乱するくらいのインパクトを与えられるため、コンテンツの作り方次第では、さらなる面白いVR体験を生み出せるのではないかと期待しています。
これからますますVRが普及していくかと思いますが、VRを体験したことがない人に「StarVR One」で驚くようなVRを体験をしてもらい、VRに興味を持ってもらうきっかけになればと願っています。
P.S.日本でも検証のために貸し出しなどを行ってくれれば、もっと普及すると思うのですが・・・。
さいごに
VRのコンテンツ制作でわからないことがあれば、ぜひ私までご相談ください。
Unrealエンジンを使った最高峰のグラフィックレベルのVRコンテンツを制作しています。
ジャンルも建設業(BIM)から医療向けトレーニング、企業・観光PRまで多岐にわたります。