アメリカではVRの苦痛軽減の研究が行われている
アメリカのVR研究では、「痛みに苦しんでいる患者さんに自然の風景などのVRコンテンツを見せることで、最大濃度のモルヒネと同じくらい痛みを和らげる効果があり、VRを見終わった後でも効果が持続した」など、緩和ケアの分野で注目されています。
実際に痛みが和らぐのか体を張って試してみた!?
先日私がかなりの激痛と言われている尿管結石になった時にVRを試してみたので、果たしてどれだけ痛みを緩和してくれたのかどうかを報告します。
尿管結石の前兆は2週間前
早朝プロレスラーに関節技をかけられたような痛みで目が覚めて、とにかく左側の腰と背中やお腹が痛くてトイレに駆け込むが、何も出ないため15分程度横になって休むと症状が緩和しました。
その後、腰痛だけは少し残りましたが、特に問題なかったので、深刻な病気では無いだろうと気にしなかったです。
そして、2週間たった後の早朝に同様の痛みで目が覚めたのですが、同じく腰と背中やお腹が痛いがトイレに行っても何も出ないため、横になって1~2時間で緩和したため、寝相が悪くてお腹にガスが溜まっただけかと思いました。
ただし2回目の時はかなり苦しくて、少し冷や汗が出て呼吸が苦しくなりました。
そして本番の3回目の発作が起きる
3回目の本番は翌日の早朝3時でした。
またすぐ治るだろうと我慢していましたが、6時間たってもまったく痛みが引かないため、これ以上我慢できないと思い、救急相談に電話すると救急車を呼ぶなどすぐに病院を受診した方がいいと言われました。
すぐにかかりつけ医に電話して家族に付き添ってもらい病院を受診しました。
診断結果は尿管結石で特に手術をするほどの状態ではないため、家に帰って自然に石が出るのを待つのが最良だという判断になりました。
ただし痛みが酷く、前日からほとんど食べていなかったため脱水症状になっていたので、点滴をして処方された痛み止めを飲んで家に帰りました。
家に帰ってから、さらなる激痛が襲ってきた
ただし、痛みは完全に消えることなく、帰宅後1時間で痛み止めの効果も切れてきたころ、今までで一番の激痛に襲われ始めました。
しかも痛み止めを服用するには6時間ぐらい間隔を開けなければいけないのですが、その時はまだ3時間しか経っておらず、必死に堪えました。
とにかくキツく、痛みで横になることも出来ず、座ったり、立ったりすることもできない状態で、俗に言う「のた打ち回る」状態でした。
あまりにもキツくて意識が飛びそうだったので、病院から帰ってきた後にも関わらず、救急車を呼ぼうとしたぐらいでした。
さすがにまずいと思い、痛み止めを飲もうとしましたが、あまりの痛さに水が飲めず口から薬が落ちてしましました。
たまたま目の前にOculusQuestがあった!!
その時に目に入ったのが、OculusQuestでした。
最近は北海道大学の保健科学研究院の先生と共同研究を実施したり、いくつかの医療機関の方からVR導入の相談を受けるなど、医療分野に力を入れていたため、「VRはモルヒネと同様の効果がある」という研究を思い出し、「モルヒネ!」「モルヒネ!」と言いながら這いつくばって何とかQuestを手にして起動しました。
そこでなんとか体験できたのは、無料のVR映像アプリ「WITHIN」でした。
体験したコンテンツはジャングルでゴリラが生息する場所にカメラを設置して、ゴリラの自然な姿を間近で観察できるというコンテンツでした。
見た瞬間「あっゴリラだ」「子供のゴリラもいる」と痛みが絶頂の中、ゴリラに意識が移りました。
ただし、期待していた痛みの緩和ですが、痛みが和らぐ感じはほとんど無かったです。
ただし、痛みと苦しみで頭が一杯だったのなか、ゴリラに意識が移ったため少し気分が落ち着きました。
そこで、痛み止めをすぐ飲み、そのままVR視聴を続けました。
5~10分くらいすると痛み止めが効いてきたのか、さっきまでの激痛は薄れていき、少しだけ楽になれました。
その後気分が落ち着いて痛み止めが効き始めたのか、すぐにベットで横になり1~2時間ほど眠ることが出来ました(寝た後は痛みが一時的に引いて、夕食を食べることが出来ました)
痛みの発作が始まってから約12時間経ちましたが、ここでようやく痛みが落ち着きました。
率直な感想は「激痛のなか痛み以外に意識が移ったけど、思っていたのと違う」
激痛で苦しむ中、状況を改善するきっかけになったので、結果的に試してみて良かったと思いますが、痛みが緩和されるかというとちょっと違う感じだと思います。
また、問題点を挙げるなら、苦しいなかVRを起動したり、痛みを和らげそうなコンテンツを探すことが苦痛だったことや、コンテンツ内でカメラが移動するなど少しでも刺激があれば苦しくなるなど、操作性やコンテンツの良し悪しが関わってくるなと思いました。
翌日もVRを試してみた
次の日は前日のような激しい痛みは無かったですが、痛みが波のように襲ってきて、我慢できなくなった時に前日同様にVR を試してみました。
痛み止めを飲んでから着用すると、痛みがすぐに引くわけではないが、コンテンツに意識が移ったため、気分的に楽になりました。
最終的には、痛み止めが効いてきて、その後すぐに眠ることができました。
ただし、前日よりも余裕があったので、様々なコンテンツを試しましたが、元々VR酔いをしやすい体質だったので、視点が移動するコンテンツや刺激の強いコンテンツなどを体験すると体力が奪われ、少し気分が悪くなりました。
なので、あらかじめ刺激の少ないコンテンツを選んでおく必要があるかなと思いました。(もちろんVRゲームはNGです→そんな気力は無かった)
以上、自分が人柱となって尿管結石の激痛のなかVRを試した結果となります。
まとめ:痛みは緩和しないが精神的に楽になる
・痛み止めを服用した後に試すと、痛みが引くきっかけになる
・操作性や体験するコンテンツの良し悪しによって変わる
VRはちょっとした病気にも使えるかも!?
私の過去の体験で苦しかった病気はノロウィルスがありますが、この時は夜中2~3時間トイレの中で便器を抱えながら震えていた記憶があります。
あのつらい状況のなか、VRで気分を紛らわすことができれば、かなり楽になると思います。
強制的に意識を向けさせる効果があるので、胃カメラを飲む前(苦手です)など痛みを伴う手術や処置前にVRを体験して精神的に落ち着かせるのも効果的な使い方だと思います。
こうしたように、ちょっとした病気などでもVRを活用することで少しでも精神的に楽になるのであれば、民間療法として積極的に活用してもらいたいなと思います。
病気でも問題なくVRを体験できる
病気など大変な状況のなかVRを体験するのは難しいのではないかという声があるかも知れませんが、私は死にそうな激痛のなか一人でVRを着用して体験できたので問題ないと思います。
VRは痛みを直接和らげるものではなく、気分を紛らわして楽にしてくれるものだと考えれば、一家に一台VRが普及するきっかけになればいいなと考えています。
VRの医療などでの活用に興味がある方がいればぜひ私にご相談ください。大学や専門学校、医療機関などと共同で研究や開発を行っています。