VRは価格相場の情報が少ない
とりあえず流行りのVRを導入したいけど、業者が多くて正直どれくらいコストがかかるのかわからないという方が多いですよね。
これは、VRのコンテンツ制作の技術が確立されておらず、みんな手探りの状態で開発しているため、会社によって制作にかかる日数に違いがあり、あまり公表したくないのかもしれません。
そこで、VR開発の現場を見てきた私が一般論ではありますが、価格をわかりやすく解説します。
まず、制作パターンとして下記の3つあります。
2.360度動画を撮影してプロモーションビデオを制作する
3.フルCGで仮想空間を制作して設計シミュレーションなどに利用する
「360度写真」を制作する場合の価格
360度写真はパノラマ写真とも言われており、ホームページ上で部屋や会場の紹介を行う時に活用されます。
制作の前提条件として、「撮影数が10~20箇所で移動を含めて1日で撮影が可能な場合」とします。
- 撮影、編集費用が10~20万円(撮影時間は半日)
- 打ち合わせ費用が5~10万円
- ホームページへの掲載システムが5~10万円
合計すると、価格はざっくり20~40万円くらいです。
これにドローン撮影を を行う場合はプラス10万から20万くらいかかります。
ドローンでの撮影は許可や天気などに左右されるため、こちらの記事が参考になるのでご覧ください。
金額の積算根拠としては
- 撮影、編集 2~4人日(2名)
- 打ち合わせ、ロケハン 1~2人日
- ホームページへの掲載 1~2人日
画像撮影はそれほど難しくないですし、サービスも確立され始めてきています。ただし、ホームページへの掲載システムは各社によってサービスが異なります。
システムは、ダブルエムエンタティメントのサービスがわかりやすいのでご覧ください。
「VR動画(立体視)」を制作する場合の価格
前提条件として「3~5分くらいのプロモーション動画を制作で撮影日数は2~3日、企画や演出(タイポグラフィやCGなど)も含まれる場合」
- 撮影 25~50万円
- 編集 25~50万円
- 打ち合わせ 25万円
- 企画 25~50万円
合計すると、価格はざっくり100~200万円くらいです。
積算根拠としては
- 撮影、編集 5~10人日(2名)
- 編集 5~10人日
- 打ち合わせ 5~10人日
- 企画 5~10人日
打ち合わせは、絵コンテや文字コンテを作成して行いますが、VR動画は初めてのお客さんが多く、編集でのやり直しの回数が増えるケースが多いです。
ですので、企画込みの動画制作の場合は工程に余裕をみて積算する場合は多いと思います。
やり直しが起きる原因とは?
やり直しになるよくある例は、制作前の段階でイメージがつきにくいので、制作しているうちに後から要望が増えたり、上司などの権限がある方がある程度編集したコンテンツを見て盛り上がってしまい、作り上げた企画をほぼ壊していくなど(笑)、結構大変だったりします。
VRではない通常の映像制作の場合は、制作の参考とする動画を教えて頂いて、ある程度イメージをすり合わせてから制作する場合が多いのですが、VRはあまり参考となる動画が少ないのが業者側の悩みです
これは、ビジネス分野でのVR動画の普及が進めば、解決していくのかなと考えています。
「フルCGのコンテンツ」を制作する場合の価格
前提条件として「部屋ぐらいの広さの空間で、物を持つなど簡単な動きのみのコンテンツ制作する場合」(シュミレーターなどの複雑なプログラムのコンテンツは除きます)
- CG制作 100~200万円
- システム開発 25~100万円、
- 企画 25~50万円
合計すると、価格はざっくり150~350万円くらいです。
積算根拠としては
- CG制作 20~40人日
- システム開発 5~20人日
- 企画・打ち合わせ 5~10人日
フルCGのコンテンツは、ストーリーに影響しない部分を簡略化するなど予算に応じてコンテンツを組み立てることも可能です。
見積りは複数の業者から取ることをおすすめします
とある業者でマンションのモデルルームの広さのフルCGのVRを外注した場合、費用が1000万円~かかるというのを聞いたことがあります。
おそらく、高品質なフルCGのVRを制作できる技術者が少ないため、外注になってしまい、中間の代理店が高額なマージンを取っていたり、経験が浅い技術者が対応するため、制作日数が膨大になってしまうというのは聞いたことがあります。
そうならないためにも、複数の業者に見積りを取ってみることをおすすめします。
ちなみに私の会社では下記のような品質のVRを適切なコストで制作しています。(画像はVRプレイ中の画面をキャプチャーしたもので、CGアニメーションではありません)
コストを下げればクオリティは下がる?
フルCGのコンテンツは制作するオブジェクト (CGで作る対象物) の数やクオリティによって制作コストが変わりますが、コンテンツに影響しない部分は簡略化することも可能です。
例えばスキージャンプを体験するコンテンツであれば、体験者は足元や目に前しか意識がないため、遠くの背景などは写真を貼り付けるなど、簡略化しても体験にさほど影響はありません。
また、VR制作の実績が多いほど、作業効率が良くなるので、制作会社によっては、品質が高くても価格がそれほど高くない場合もあります。
これはパソコン上で3DCGのオブジェクト(CGで作る対象物)を制作して配置したところ見栄えが良くても、VR上で確認すると違和感があったり、上手く描写されなかったりなど、パソコン上の見え方とVRは上での見え方が異なります。
そのため、制作のノウハウが蓄積されるまで、トライアンドエラーを繰り返すことになります。
また、ソフトのアップデートなどでCG描写の品質がどんどん良くなる分、新しい機能を検証しなければいけないため、常に勉強が求められることもあります。
ほんとにVRの技術進歩が早いため、制作担当は相当大変だと思います。
参考事例として、積木製作さんの技術ブログが非常にマニアックで大変さよくわかるので、ご覧ください。
とりあえずざっくりの規模感ですが、以上となります。
予算があまりないので、値下げはできる?
実は作業工程を省けば値下げできます 。
例えば、CGのデータをお客さんから提供してもらったり、企画やコンテ(案)はお客さんで制作してもらうなどです。
私たちでは、過去の事例で建設会社さんで自前でCGデータを作成していたので、それを取り込んで制作することで、通常2週間の制作期間を1週間未満に短縮したこともあります。
また、制作内容を簡略化することで、業者によりますが、 360度画像の撮影ものは10万円~、360度動画やフルCGコンテンツものが50万円~でも相談にのってもらえたりするので、予算ありきでどこまでできるかを相談するのもアリです。(逆に迷っていたら、とりあえず相談してくれると業者側は嬉しかったりします)
値下げしても大丈夫?
値下げ時の注意点として、
必ず営業だけではなく、制作するディレクターと会って責任を持って仕事を受けてくれるかどうかちゃんと見極めた方がいいです。
営業が仕事欲しさに現場を無視して勝手に値下げすることも考えられますので。
まとめ:VR制作の価格目安
・「VR動画」 100~200万円くらい
・「3DCGコンテンツ」 150~350万円くらい
※価格はあくまで目安です。コンテンツの内容や依頼する業者により大きく変わることがあります。
初めてVR制作を検討する担当の方に向けて、価格の目安がわかるように記事を作成しましたので、少しでも参考になればと思います。
また、価格について知って頂いたので、次にどのように業者にアプローチすればいいか?を知りたいですよね。
こちらに失敗しない業者の選び方の記事がありますので、ぜひご覧ください。
もし、価格面で業者に依頼するか迷っていたら、ぜひ私にご相談下さい。
よろしくお願いします。